第1回「味噌ものがたり大賞」受賞者発表!!

優秀賞ヘンリー 様

「お味噌って・・・」
「おいしいね」孫娘がいう。
離れて暮らす息子家族が我が家を訪れ、妻が仕込んだ味噌で作った味噌汁を飲み、そういう。味噌は千三百年の歴史があると聞く。妻は近所のおばさまから味噌の造り方を教わり、以降、毎年造っている。最近は小糸在来という地元の大豆を家庭菜園で育て、それを使って造るようになった。
孫娘が初めて飲んだ味噌汁は、この味噌を使ったものだ。味噌汁のしみ込んだ大根を、人参をおいしそうに食べる。手造りの味噌には愛情という独特の旨味がある。その旨味は具材を引き立たせ、人をほっこりさせる。
「みんなで食べるとおいしいね」孫娘がいう。
息子家族と年初めに新しい味噌を仕込んだ。この味噌も一年後に一緒に食べれると思うとほっこりする。そうやって毎年味噌が造られ、毎年家族が創られていく。
「味噌って、うれしくて楽しい」

審査員長 松浦弥太郎の評

地元の大豆を自分たちで育て、それを使って味噌を仕込むという営みには、地域とのつながりや自然への感謝の心も込められているように思えました。手作り味噌を家族の健康としあわせにつなげる暮らし。このエッセイを読んで、こんな風に家族のために何かを続けていける人でありたいと思いました。